息子が先日、「ところがさ~」って言って、ハッとした。小さい子供が接続詞を発するのは妙な違和感があってすごい面白い。あと、なんか可愛い。
それをきっかけに、そういえば自分は接続詞が好きだなあ~って思って、こんな本を読んでみた。面白かった。
事実、子供が言葉を覚えていく過程において、一番最後に覚えるのが接続詞だそうだ。
もうひとつこの本を読んで思い出したのは、尊敬する元上司がずっと昔にくれたアドバイスで、
「プレゼンの前に最低限やっておくべきことは、企画書のページをめくるごとに最初の一言何を言うか、を決めておくこと。「さて」なのか「次に」なのか「一方で」なのか・・・、と」
このことは今でも心がけている。あらためてこのアドバイスは接続詞の本質だなあと思った。
接続詞は、それ自体にはまったく意味をもたないが、文章の行き先を指し示してくれる。
先に書かれた文脈を受け、次につながる文脈の内容を予告して、読み手に対してどんな気持ちで読んだらよいかを教えてくれる。
つまり、本来は無くてもよい言葉だけど、あるとすごく分かりやすい文章ってこと。
接続詞には、「連結関係の表示」「重要情報に焦点を絞らせる」「文のつながりをなめらかにする」といった機能のほかに、「接続範囲を指定する」という機能があるそうだ。
この「接続範囲の指定」という考えは参考になりそう。
あるいは・・・「短い文脈」→「短い文脈」
例えば・・・「短い文脈」→「長い文脈」
ようするに・・・「長い文脈」→「短い文脈」
一方・・・長い文脈どうし
こう理解していると、一本の線で流れていく文章を、立体的な固まりとして見れるようになり、理解が速くなると。
なんか国語のお勉強みたいな話だが、あらためて知るとちょっと興味ある。
メール&twitter文化が進展して、文章はとことん短くなる傾向にある気がする。
twitterを眺めても、出てくる接続詞といえば、「でも、」「で、」くらい。
接続詞を上手く使いこなせば格段に分かりやすい文章が書けると思うので、これからも企画書にどんどん接続詞を使っていきたい。(接続詞の使い過ぎは禁物)
著書に書かれていた接続詞の分類、用法をまとめてみた。
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1.論理の接続詞
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(1)順接の接続詞
■「だから」系・・・前後文脈の因果関係を明確にして文章の説得力を高める
◇だから・・・書き手が用意した結論にやや強引に結びつける印象を与える
◇そのため・・・だから、よりも客観的な印象にする
◇したがって、ゆえに、よって・・・論理的必然性の高い結論に帰着するときに用いる
◇それで・・・ややくだけた文体に使用
■「それなら」系・・・仮定のもとに結果を考える
◇それなら、それでは
◇すると・・・前提となる条件関係から、新たな発見が生まれる場合に用いる
◇そうすると、そうしたら
◇だとすると、だとしたら
(2)逆接の接続詞
■「しかし」系・・・万能選手だけに使い過ぎに注意
◇しかし・・・前後の「食い違い」を強調。見た目が派手な接続詞
◇だが・・・しかしに近いが、文章展開の切り替えの比重が高い
◇でも・・・しかしの話し言葉版
◇ただ・・・先行文脈を完全には否定しない補足修正。穏やかな印象
■「ところが」系・・・表現力のバロメーター。うまく使えば文章の奥行きと広がりが生まれる
◇ところが・・・読み手の理解に配慮して活用することで、意外感を与える
◇にもかかわらず・・・現実の不当さや意外さを示す。自分の意見を的確に述べる印象を与える
◇それなのに・・・やや情緒的に不満や憤りを示す
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2.整理の接続詞
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(3)並列の接続詞
■「そして」系・・・添加の役割
◇そして・・・最後にひとつ大切な情報を加えるときに使う。濫用しないように
◇それから・・・並列関係を自由に表現できる。&に近い
◇また・・・文と文を並列につなげる、&の意味
■「それに」系・・・累加の役割
◇それに、それに加えて、そればかりか、そのうえ
◇しかも・・・同じ事象に別の角度から突っ込んでたたみかける感じ
■「かつ」系・・・論理を重視した厳めしい感じ
◇かつ・・・AかつB
◇および・・・かつより、強い制約はない
◇ならびに・・・およびより、長い文章接続に活用
(4)対比の接続詞
■「一方」系・・・対立を表現
◇一方・・・ふたつの異なる面を見せる。対比度は低いから使いやすい
◇それに対し、反面、逆に・・・前後文脈はきちんと反対であることが必須
■「または」系・・・選択を表現
◇または、もしくは・・・二者択一が原則
◇あるいは・・・表現されたもの以外にも候補が存在する印象を与える
◇それとも・・・話し言葉的。候補がやや意外なところから出てくるときの表現
(5)列挙の接続詞
■「第一に」系・・・文章による箇条書き
■「最初に」系・・・時間的順序性が必須
◇最初に、続いて、その後
■「まず」系・・・上記2つよりも汎用性が高い
◇まず、次に、さらに
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3.理解の接続詞
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(6)換言の接続詞
■「つまり」系・・・あえて言い換える前の言葉も残すことで理解を深める。正面からの言い換え
◇すなわち・・・前後文脈の対称性が保たれている場合に使う。=に近い
◇つまり・・・先行文脈よりも、短い言葉、あるいは分かりやすくなることが必須。咀嚼、解釈が入る
◇ようするに・・・つまり、よりも核心を端的に表現。主観・解釈度合いも高いので論理の飛躍には注意
◇いいかえると・・・言い換えの予告
◇いわば・・・やや比喩的象徴的な言い換え
■「むしろ」系・・・側面からの言い換え
◇むしろ・・・常識的直観的に当然と思える事項をあえて否定して、自分の意見の説得力を高める
◇かえって・・・上記に同じ。いずれも解釈度が高いので根拠とセットで伝えるべき
◇というよりも・・・先行文脈の内容よりも表現の仕方を問題にする場合に用いる
◇そのかわり・・・交換条件の提示
(7)例示の接続詞・・・分かりやすく説明しますよ、の予告
■「たとえば」系
◇たとえば・・・例がひとつに限らない場合
◇具体的には、実際
■「とくに」系・・・読み手に強く意識させたい具体例の予告
◇とくに、とりわけ、なかでも
(8)補足の接続詞
■「なぜなら」系・・・無いほうがスムーズな接続詞
◇なぜなら、というのは、とういうのも
■「ただし」系・・・先行文脈の成立を保証するために必要な条件を補足する
◇ただし、もっとも、なお、ちなみに
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4.展開の接続詞
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(9)転換の接続詞・・・話題や場面の切り替え予告(より上位概念の切り替え)
■「さて」系
◇さて・・・もともと準備していた話題に戻す
◇ところで・・・いきあたりばったり的な印象
■「では」系・・・話が核心に入るシグナル
◇では、それでは
(10)結論の接続詞
■「このように」系・・・先行文脈のまとめとしての結論を示す
◇このように、以上、結局
■「とにかく」系・・・堅めの文章には使わないほうが無難
◇とにかく、いずれにしても、いずれにせよ
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5.文末の接続詞
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(11)否定の文末接続詞
■「のではない」系
■「だけではない」系
(12)疑問の文末接続詞
■「か」系
(13)説明の文末接続詞
■「のだ」系
■「からだ」系
(14)意見の文末接続詞
■「と思われる」系
■「のではないか」系
■「必要がある」系