高広伯彦著「次世代コミュニケーションプランニング」

仕事でもお世話になったことのある高広さんの新著。
他の書評では、即実践に役立つというよりは思考の材料に、、、みたいな記載があったけど、
自分的には即実践に結びつく大きな刺激を得た感じ。
特に5章のコンテキストプランニングの話。
コンテクスト、つまり「文脈」「背景」。
いかに社会や生活者に受け入れられる文脈の中に商品を埋め込むか。
これまでのソーシャルインサイト、コンシューマインサイトがやや静止画的な解釈だとしたら、
「コンテクスト」はやや動画的な印象を受けた。
先日読んだ「ストーリーとしての競争戦略」もそうだったように、動画感覚(時間軸のある捉え方)って重要なのかも、って思った。
今までは・・・どんなインサイトを見つけ、刺さるメッセージを送れば人が動くか
つまり、アカウントプランニングして、クリエイティブプランニングへ、という流れだったものが、
これからは・・社会(や生活者)のコンテクストにどうこの商品を埋め込むか
つまり、コンテクストプランニングして、コミュニケーションプランニングへという流れへ。
■コンテクストプランニングの技法
現状のコンテクストを解釈し理解し、→ 商品を埋め込むコンテクストを作り出す
■整理すべき4つのコンテクスト
・Consumer Context
・Public Context
・Category Context
・Brand context
この分類は従来の~~インサイトと同様で構わないのだろう、きっと。
(事例)
いまの時代、女性は自宅でリラックスを求めているよね。
でも、男性向け書斎や子供部屋ってあるけど、女性専用の部屋って無いよね
女性向けに作られているのは、キッチンや洗面所などだから、部屋じゃないよね
だからはじめて女性向けの部屋ってのを開発したわけ!
ちなみに、大和ハウスは初めて子供部屋を作ったメーカーだし。
→差別点や機能訴求にとどまることなく、
 深みがあり、納得感ある「コンテクスト」に埋め込まれた商品として打ち出すことが出来る。
何とも言葉で表現しづらけど、深み&納得感&動画感のある商品の打ち出し方が出来るような気がする。
それは「コンテクストプランニング」なんだろうと思う。たぶん。

そのほか、気になったフレーズ。
■「オーダー」と「オファー」の話。
広告主も悩んでいる、迷っている、分からない。
だからオーダーではなくオファー。まさに近頃はほとんどオファー。
でも、ついつい「最低限ここ決めてもらわないと、話進まないよね」っていうオーダー的態度をとってしまうこと多々あり。
つまり、今までの広告会社のメニュー表にない商品を求められているし、こちらはそれを提供しなきゃいけない。
■今までの広告会社のメニュー表に並んでいた「メディア」。
でもその「メディア」という言葉の捉え方ももっと自由に広くとらえるべき、と。
メディアのあり方、使い方を決めるのは生活者側であり、生活者が持つ「コンテクスト」次第。
これまでメディアと思わなかったものまでメディアととらえる発想を持ちたい。
■ユーザーが企業の活動にいかにエンゲージメントしてくれるか、から、
「ユーザーの活動にいかに企業がエンゲージメントするか」へ。
勝手広告を受け入れて自社のコミュニケーションに活かすとか。
つまりユーザーを囲い込むのでなく、いかにユーザーに囲い込まれるか
すなわち、1対1のインタラクティブ性でなく、3人以上の絡み合い、増幅こそソーシャルメディアの本質。
■ソーシャルメディアは身体の拡張だと思う。
人と話す。みんなに伝える伝え合う、って昔から出来たこと。
それが容易に、驚くべきスピードで、驚くべき人数に伝えられるようになった、ていうのが本質。
だからソーシャルメディアは、メディアメニューの新商品でもなければ、従来メディアと並列に扱われるものでもない。
別レイヤーのものだと思う。
つまり従来メディア+ソーシャルメディアではなく、従来メディア×ソーシャルメディア。
以上、自分なりに羅列まとめしてみた。

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